落ち着いてる風なだけ 強さと執着

なんというか、案外、落ち着いてるとか焦ってるとか、人に伝わらないもんなんやな。

「いつも落ち着いてますよね」とか言われることがあるけどとんでもないなと。

だいたい仕事のお客さんとの打ち合わせとかでも、呼吸が詰まらないようにしながら話してるし、終わった後はどっと疲れてるしなぁ。

 

まぁ仕事では何があっても淡々と喋るようにしてるからそう見えるのかなと言う気はするけど。

 

もしかしたら格ゲーの経験も影響してるかもしれない。

対戦相手に「今焦ってるな」とバレたら付け込まれるからな。

むしろ「こいつ大したことねーな」と思わせた方が、相手に隙ができるので有利だと思う。

よく言う「強気な人」というのは、言い換えるとその「強気」で相手をコントロールしようとしているだけで、強いのではない。

 

そういえばバガボンドって漫画で、こんな描写があった気がする。

荒々しい剣豪が、剣聖と呼ばれるような達人を殺してやろうと決意する。

そして夜寝てる時に家に潜り込む。寝室まで来ていざ、というところで達人はすっと起きて、ただ見つめ返す。襲おうとした剣豪と対照的に、全く殺気がない。よぼよぼの顔で、顔をかいたりしている。そして全然気にしないようにまた寝てしまう。

それを見て、剣豪は衝撃を受け、帰ってしまう……。みたいな感じだったかな。

 

漫画では、とくに解説はなかったと思う。けどこういうことだと思う。

剣豪はこれまで、殺すか殺されるか、という修羅場を何度もくぐり抜け、自分が強いと思っていた。

それでいっちょ、達人とやらを試してやるか、みたいな驕りで挑んだところ、まるでいなされてしまう。

殺すこともできただろう。でも、それは本当に「勝ち」で「強い」ことなのか……。自分はそもそも何を求めていたのか。

また逆に、襲った剣豪にそれができるか、ということも突きつけられている。いざ自分が斬られる、殺される、というときにそれをただ受け入れられるか。顔をポリポリして落ち着いていられるか。「自分の方が強い」と思っている人にとってそれは受け入れ難いはずだ。

 

これは「執着」の話だなと思う。仏教的だなぁと。

もう何の話やねん。